ペットロスを乗り越えるための相談窓口として
吉田先生がホットラインを開設するにあたり書かれた文書を見せていただいた。
「ペットロス110番」の下に「コンパニオンアニマルロス・サポート・ホットライン」という文字がある。「コンパニオン」という英語はもともと「仲間」「友人」「話し相手」といった意味を持つ言葉である。私たちが「コンパニオンアニマル」という言葉を使う時、さらにもっと深いつながりで結ばれた伴侶としての動物、というニュアンスを含んでいるようだ。
そんな特別の愛情を注いでいたペットをロス(喪失)した飼い主の声を聞き、心をサポートする(支える)電話相談のサービスである。
以下に先生の挨拶文を引用させていただく。
『ペットロスとは大切にしていたペット動物を失う体験を言います。それはペットの死別のこともあるし、生き別れのこともあるでしょう。このホットラインは、ペット動物との別れに伴って起こるさまざまな心の問題に対処し、それを乗り越えていくために設置されたものです。動物と深く交流し、動物によって瘉されていた人ほど、それを失った時の悲しみや精神的動揺は大きくなるものです。ペット動物・コンパニオンアニマルの喪失により苦しんでいる方あるいはペットロスについてさらに知りたい方、お電話ください。』
月曜日〜土曜日、午後0時〜午後9時。
TEL 044-966-0445。FAX 044-966-7807
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全国から寄せられる心の叫び
8か月の間に受け付けた電話の数227件。相談者の住所は東京、大阪、愛知、福岡などの大都市圏を中心に全国各地に広がっている。死別体験者の平均年齢は46.5歳。その94%は女性である。比較的多いのは既婚女性からの相談だ。
「一応、時間は決めているのですがそれを越えてしまうことも少なくありませんし、電話では対処しきれない例で面接をする方もいます」と先生。
ペットを失ってから電話をかけるまでの経過日数で一番多いのは初めの1週間以内だが、中には30年前の経験を胸の内に抱えて悩んでいる人もいるという。事故死では「自分の不注意で死なせてしまった」という自責の念に苦しみ、安楽死の場合には自らの決断を悔やむ人がいる。行方不明による生き別れも、死別とは異なるつらい経験となる。
そして、相談者の多くが「こんなにも悲しみが深いのはおかしいのではないか、自分は異常なのではないか」という不安を抱えて電話をかけてくる。
「いつまでも悲しい気持ちが続いていることをはずかしくて家族に言えない」という中年の男性。「あまりに失ったペットにこだわる自分を他人が変な目で見る」「バカにされそうで、だれにも本当の気持ちを打ち明けられない」といった内容の告白が少なくない。
「でもあまり心配しないでください。家族のように一緒に暮らした動物がいなくなって悲しむのは自然なこと。大事なのはその感情に素直になれること、素直になれる環境があることです」と吉田先生は言う。

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悲しみの感情を外に出すことで解決へ
ペットとの別れに遭遇した飼い主は嘆き悲しみ、ふさぎ込み、命を救ってあげられなかったという罪責感や、十分にかわいがってあげられなかったという後悔、さらには不安や怒り、見捨てられ感、虚脱感など、さまざまな感情にさいなまされることになる。そうした精神的な変化に加え、疲労、過食や拒食、頭痛、不眠や感覚鈍麻のような身体的な変調を訴える人も多いという。
特に死別の場合、最初は『死』そのものを認められない(信じられない、信じたくない)といった状態にあることが少なくない。そんな相談者には、例えばペットへの手紙を書くなどの方法で気持ちを整理しながら、まず死別の事実を認めてもらう。それから、先に挙げたような、いわゆる私たちが“ペットロス体験”と呼んでいる悲しみの感情を経てペットとの別れを認め、受け入れ、最後にはあきらめの境地に達して回復する。
「愛するものを失って悲しむのは正常な反応です。ペットロスの体験は人間の近親者を失う体験によく似ていて、普通、回復までに3か月から6か月くらいはかかります。それに、ペットを失った悲しみはその直後だけではありません。何週間もたってから湧く悲しみのほうが、しみじみと深いものなのです」と先生。問題はそれを「いつまで悲しんでいるのか」と非難する人が多いことだと指摘する。
日本人は感情を表に出すのが苦手な人種だと言われるが、先生によればペットロスの一番の解決策は感情を涙とともに外に出してしまうこと。通常のペットロスの体験者には「悲しみを押し殺さないように」と指導する。話を聞いてくれる人を見付けて素直な気持ちを話してみる。感情を外に解放することができないと悲しみが内にこもり、いつまでも消えずに残り苦しみ続けることになってしまうのだという。お墓参りやアルバム作り、ペットの絵を描く、手記を作るなどの作業を、供養の気持ちをこめながら無理のない程度にすることもペットロスの対処として有効だ。
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