誰かのささやかな親切行為が、ペットやその家族にとって生涯忘れられない思い出となることがある。
ユタ州ソルトレイクシティーに住むエリさんとマリアンナさんが飼っているセントバーナード犬のマギーは骨のガンに苦しんでいた。死期が近づいているのは覚悟していたが、飼い主はマギーが大好きな冬を迎える前に見送らなければならないのが悲しかった。
病気による痛みと夏の暑さで息を荒げるマギー。厚い毛皮で覆われたマギーにとって夏はいつも暑さとの闘いだ。そんな姿を見てエリさんとマリアンナさんはあるアイデアを思いついた。
マギーに雪をプレゼントしたい。マギーに人生の最期を楽しんでほしいという飼い主の思いは人から人へと伝わり、市を巻き込むかたちで実現することになった。
エリさんらが地元のフェイスブックページにスノーマシンを探していると投稿すると何百人もの人がコメントを寄せた。自分が氷のかたまりを削って雪にしてあげると言う人もいた。
そんななか強力な助っ人から声があがった。アイスホッケー会場をもつソルトレイクカントリーアイスセンターの施設責任者がザンボニー(氷整車)で集めた雪を提供できると言ってくれたのだ。
エリさんらはその週末にマギーを最後のキャンプに連れて行き、その帰りにアイスセンターに寄って車に積める限りの雪を受け取った。
最初は突然あらわれた雪の山にマギーは戸惑っていたものの、次第に雪の上に置かれたおもちゃで遊び始め、午前中ずっと雪を楽しんだ。普段は痛みで寝られないマギーだが、雪の上でリラックスしてうとうと眠る姿にエリさんらも笑みがこぼれた。
そして2人はマギーをペットホスピスへ連れて行き、安楽死というかたちで看取った。
「辛かったけど、穏やかな最期だった。人生は短いからすばらしい。でも私たちはまだマギーを天国に行かせる心の準備ができていなかった」と語るマリアンナさん。
マギーは病気の痛みから解放されたが、家族の一員を失った悲しみはすぐに癒えるものではない。2人のもとには地域の人から多くの追悼と励ましのメッセージが届いているそうだ。
関連URL: Dying dog enjoys snow one last time with help from local ice center