これまで世界はさまざまな戦争、飢饉、災害を経験し、多くの国家が盛衰し、王や女王が何代にもわたって交代して現在に至っているが、その長い歴史の流れをひっそりと静かに見てきた190歳の動物がいる。南西アフリカ沿岸から何千マイルも離れた小さな島、セント・ヘレナ島に住む陸ガメのジョナサンだ。
体重199キロのジョナサンは生存する陸上生物の最高齢として、2019年にギネスブックに登録されている。190年の間にアメリカでは39人の大統領が政権を取り、イギリスでは7人の国王が王位に就いた。
ジョナサンは忍耐と粘り強さ、生き残る力のシンボルとしてヘレナ島でとても尊敬されている。推定190歳で本当はもっと年齢が高い可能性があるそうだが、生まれた当時の記録がないので正確には分からない。唯一残っている最も古い記録は1882年から1986年に撮影されたとされる写真で、写真の中でジョナサンは現在も暮らしているプランテーションハウスで草を食んでいる。その写真の様子から当時すでに50歳は過ぎていることがわかるので、生まれたのは1832年頃だろうという推測だ。
ジョナサンはウィリアム・グレイ・ウィルソンという、のちにヘレナ島の知事になった人に贈られたギフトだった。当時世界では外交の贈り物として陸ガメを贈呈する伝統があったそうだ。
190歳を超えたジョナサンは目が見えず、匂いの感覚も失ってしまっているが、多くの人に見守られながら暮らしている。彼の健康を管理する獣医師は「責任は重大だけれど、世界最高齢の陸上生物の世話をできるのは光栄です」と、ジョナサンの記録更新に意欲を見せている。
関連URL: Jonathan the Seychelles Tortoise Is the Oldest Known Living Land Animal in the World at 190