イギリスでは現在、犬を巡り、法改正への動きが活発化している。英国環境・食料・農村地域省(Defra)は3月9日、「危険犬法」改正案に関するパブリックコメントの募集を開始した。
イギリスでは、1991年に制定された「危険犬法」により、危険とされる特定のタイプの犬 (※ / 以下“危険犬”)の所有・繁殖・販売が原則禁じられているほか、裁判所の許可を得て危険犬を飼う場合に遵守しなければならない規定などが細かく定められている(「マイクロチップの装着」「不妊手術」「公共の場でのリード・口輪の装着」他)。
しかし一方で、犬が人に危害を加えて怪我を負わせる、もしくは死亡させる事故がここ数年頻発しており、法廷に持ち込まれるケースだけを見ても、2002〜2003年では35件だったのに対し、2008〜2009年にかけては719件と急増しているという。
このような状況を受け、同省は現行法では規制が不十分と判断、法改正へと動き始めた。
今回の改正案には、“公共の場”に限定されていた法の適用範囲を私有地にまで拡大することや、マイクロチップ装着の義務化、危険犬の飼い主にのみ適用されていた“ペット賠償責任保険”加入義務を、すべてのドッグオーナーに適用範囲を広げることなどが盛り込まれており、この改正案が成立した場合、一般の飼い主にまで影響が及ぶことは必至だ。
模範的な“犬先進国”のひとつとされているイギリスだけに、この動きが同国内のみならず、他国にどのような影響を与えるのか、今後も注目したい。パブリックコメントの募集期間は6月1日まで。
※ 現行法でいう「特定のタイプの犬」とは、闘犬向きに改良された犬のことを指し、特定の犬種に限定されていない。
具体的には「土佐系」「ピット・ブル系」「ドゴ・アルヘンティーノ系」「フィラ・ブラジレイロ(ブラジリアン・マスティフ)系」の“4タイプの犬”と明記されており、適用範囲は純血種に限らず、これらの犬種をベースにした雑種や、見た目・能力・気性が上記4犬種と同等の犬なども含まれる。
しかし、この定義では法の適用範囲が曖昧で特定しづらいため、今回の改正案では上記の記述を削除しすべての飼い犬を適用範囲とするか、もしくは指定犬種の範囲を拡大することが検討されている。 |