フィリピンマニラにある「David Tan」というおもちゃメーカーでは、あるカスタムオーダー商品の注文が殺到して生産が追いつかないほどだ。その商品とは、亡くなった犬や猫、ハムスター、ウサギといったペットにそっくりのぬいぐるみである。
20人ほどのスタッフで構成される社内の製作チームは、顧客から送られたペットの写真をもとに、大きさ、形、表情、毛色すべてにおいて本物そっくりのぬいぐるみを製作する。毛は化学繊維を使い、ペットと同じ色、模様になるようにエアブラシで染めていく。
動物の剥製には心理的に抵抗のある人が多いが、この商品はペットの体の組織を使うことは一切ない。あくまで純粋な「ぬいぐるみ」として飾るのはもちろん、抱っこしたり一緒に寝たりといったふれあいができる。
1体あたりの製作費は大体65ドル。飼っていたシーズー犬のぬいぐるみを作った38歳の愛犬家ジャジャさんは、それだけの値段を払う価値があると言う。「彼の遺灰と思い出はここに残っているけれど、彼にそっくりなものがそばにあるのは全然違うわ」と、膝に抱えた亡き愛犬のぬいぐるみにほほえみかけながら話す。
ペットの死はなかなか受け入れるのが難しいが、亡くなったペットの存在を形として残すことで癒され、前に進めると感じる人も多いようだ。こうしたペットロスの悲しみを癒す商品やサービスは、今後世界中で成長を続けていくだろう。
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