あたかも生きているような、いまにも動き出しそうな枡の中の金魚。色鮮やかな金魚が時を止めた不思議な空間を創り出す金魚絵師・深堀隆介氏は、15年前、美術活動に自信をなくし、アートをやめようとしていた。その彼を救ったのは、縁日ですくってきた金魚。7年間、あまり構わず成長するに任せていた金魚はすでに20cm以上に成長。

　身体はぼろぼろになり、片目を失っていた金魚の中に「美」を見いだした深堀氏は、その後、器に樹脂を流し込み、その上に金魚を描くというオリジナルの技法をあみ出し、作品を発表。独自の世界観と、美しさで人気を博し、国内はもちろん、NYやロンドン、ミュンヘンなど世界各地で個展を開催している。

　今回の回顧展では、自身の代表作でもある初期作品の枡を使った「金魚酒」から、最新作で今回初お披露目となる白磁を使用した「鱗化（りんか）シリーズ」まで、約50点の作品で15年の画業を辿ることができる。

　また、会場内には氏のアトリエを再現。週末には深堀氏による公開製作も予定されている。入場料は、一般・大学生が500円、高校生以下は無料。

関連URL: 深堀隆介 回顧展 金魚養画場～鱗の向こう側～西武渋谷店 美術作家 深堀隆介オフィシャルサイト