猿などの霊長類やイルカ、シャチ、オウムは人間の行動や言葉をマネする能力があると言われている。では猫はどうだろうか？

エトヴェシュ・ロラーンド大学の動物行動学者であるクラウディア氏と、日本でドッグトレーナーとして活躍する檜垣史氏は共同で、猫は人間の動きを真似できるかの実証研究を行った。
その研究成果は「Animal Cognition」というジャーナルに掲載され、猫は真似をするという概念を習得できると結論づけている。そして、猫に限らず他の多くの動物も同様の能力を持っているだろうと述べた。　　

クラウディア氏と檜垣氏は昨年、7ヶ月間にわたって檜垣氏の飼い猫であるエビスやそのほか数匹の猫を対象に実験を行った。
11歳のエビスはいたって普通の猫で特に芸ができるわけではないが、クラウディア氏の考案した「Do as I Do（私がするようにしなさい）」という手法を用いて檜垣氏とトレーニングを行なった。

動画では、檜垣氏が一回転したあとにエビスに「Do it!」と言うと、エビスはゆっくりと回ってご褒美のおやつをもらっている。
このようなシンプルな体の動きを見せる度に「Do it！」を繰り返し言うことで、猫は「Do it！」は「私の真似をしなさい」という意味だと理解したと考えられる。
エビスは横になる、立つ、おもちゃを触る、引き出しを開ける、輪ゴムを噛むといった動きも真似できるようになった。
「猫は飼い主を観察することで多くのことを学んでいるかもしれないということを猫の飼い主は知っておくべきだ」とクラウディアは述べている。

しかし、ドイツのチュービンゲン大学のテニー氏とシカゴを拠点賭する猫心理学者のチャルクラフト氏は、この研究結果に異議を唱えている。
この研究では、猫が自然に人間の行動を真似るのか、単に「Do as I Do」の手法を用いて集中的にトレーニングをしたことで真似をするスキルを学んだだけなのか、その違いが明らかではないとテニー氏は指摘する。
「トレーニングなしですぐさま猫が真似をするか、それはまだわからない。では猫は真似するように訓練できるか？もちろん答えはイエスだ」と厳しい意見を述べている。

テニー氏らの批評を踏まえて今後さらに研究を深め、猫が自然と人を真似るのかどうかをぜひ明らかにしてもらいたい。

関連URL: Are you kitten me? Cats can learn how to be your copycat