テキサスに住む17歳の青年を襲った突然の発作。すぐに異変に気づいて家族に知らせたのは一緒にいた愛犬だった。

ガブリエル・シルバ君はサッカーが好きで、これまで何の病歴のない健康な青年だった。しかし8月26日の朝に突然、動脈乖離による発作が彼を襲った。
午前5時ごろ、家族が飼っていたボーダーコリーのアクセルはガブリエル君の様子がおかしいのに気づいた。そしてすぐに2階にある母親と父親のベッドルームへ駆け込み、興奮した様子で母親の胸に両方の前足をのせて異変を伝えようとした。

父親はアクセルが外に出たいのだと思ってドアに向かったが、アクセルはガブリエル君の部屋へと父親を誘導した。するとガブリエル君の様子が明らかにおかしかった。言葉がうまく話せず、視界もはっきりしないようで、歩くことができず、体の右側の感覚がなくなっていた。

両親が救急病院へ連れて行くと、医師はすぐさま抗凝血剤で応急処置を行った。その後、検査やスキャン、血管造影図によってガブリエル君の発作の原因は急性大動脈乖離であると判明した。しかし、これまで動脈硬化やコレステロールの問題がなく、トラウマや大きなストレスを抱えていたわけでもない彼がなぜ発症したのかよくわからなかった。本当に偶発的に起こってしまったようだ。

愛犬のおかげで一命をとりとめたが、脳に与えたダメージを修復することはできず、ガブリエル君はまた1からアルファベットを学び直したり、運動機能を取り戻すといったリハビリが必要となる。
しかし彼の回復力は非常に高く、発作から1週間でまた歩けるようになり、サッカーをしたいという希望を持ってリハビリに取り組んでいるようだ。大学に進学して土木技術者になるという夢もあきらめていない。

退院したガブリエル君は命の恩人であるアクセルと笑顔でハグをした。アクセルはほかの家族のメンバーに対してもこれまで以上に献身的に寄り添うようになり、家族全員にとって癒しの存在となっている。

アメリカでは40秒に1人の割合で脳の発作が起きている。ガブリエル君の母親は、リスクの高い人はレスキュードッグを飼い、発作の主な症状（顔の表情がなくなる、物が握れない、言葉がはっきり話せない）を心得ておくことが大切だと呼びかけている。

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