
年中暖かいイメージのアメリカ南部フロリダ州にも冬はやってくる。日中は20度近く上がっても、朝晩は10度以下に下がる時期がある。
そのシーズンには、木からイグアナが落ちてくるという嘘のようなニュースを見かける。今年も11月10日頃、「イグアナ落下シーズン」が到来したというネットニュースが出回った。
一体どういうことなのか。
フロリダに多く生息する野生のイグアナは、毎年冬に訪れるこの短い期間、気温が十分に下がると体が硬直したまま動けなくなるらしい。
イグアナは変温動物であるため、体温調節には日光や温暖な環境といった外部熱源に依存している。しかし、外の気温が約10度を下回ると代謝が急激に低下して筋肉の機能が停止し、枝にしがみついていられず地面に落下してしまうのだ。
これは「フロリダでしか起こらない」怪奇現象の1つで、他の州の人々や海外からの観光客をパニックにさせる。
しかし慌てる必要はない。イグアナは死んでいるわけではなく、ただその場に凍りついているだけなのだ。太陽が昇って気温が再び上がると、彼らはゆっくりと「解凍」され、動きを取り戻し、何事もなかったかのように動き出す。これは自然が作り出した、爬虫類の再起動システムなのだ。
ニュースでは、過度に心配して凍ったイグアナを拾って獣医に連れて行ったりしないよう注意喚起をしている。
実際に獣医に連れて行こうと暖房のきいた車内に入れた途端、イグアナが目をさまして車の中で大騒ぎしたというエピソードもある。とにかく人間は触らず、太陽の光に任せることが大事なのだ。
ちなみにこれらのグリーンイグアナと数種の近縁種は、もともと中南米が原産で、フロリダよりもはるかに温暖な気候に慣れている。どういうわけか、木から落下してまでフロリダにすみ続けているのだ。
幸いなことに、この寒波は短期間で終わり、気温は再び上昇したようだ。イグアナたちは木々に戻り、南フロリダはいつもの日差しを楽しんでいる。
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