
かわいいペットの健康のためといえど、治療のために獣医に連れて行って、会計のときにその額の高さにびっくりした経験のある飼い主は少なくないはずだ。
イギリスではとくに治療費が値上がりしており、額を知らされないまま治療に進むことへの不安が広がっている。
そうした市民の声から、イギリスの公正取引委員会(競争監視機関)は、獣医師に料金表の公開を義務付けるべきだと述べた。これによりペットの飼い主は事前に費用を確認し、最良の条件を探せるようになる。
同機関の調査によると、飼い主は治療費が数千ポンド(数十万円)に達する可能性があるにもかかわらず、価格を知らされないか、見積もりを提示されないケースが多いことが判明した。
競争市場庁(CMA)はまた、獣医師の料金がインフレ率のほぼ2倍のペースで上昇していることも明らかにした。にもかかわらず、獣医のウェブサイトの84%が料金情報を一切提示していない。
その結果、ペットオーナーが病気のペットを安楽死させるケースや、高騰する獣医費を避けるため治療を遅らせるケースが増加している。
ニコル・ホーリーさん(26)は、散歩中に草の種を吸い込んで感染した愛犬アーニーの治療費として予想外の1万2000ポンド(約200万円)の請求書を受け取った後、BBCニュースの視聴者参加番組「Your Voice, Your BBC News」を通じて意見を述べた。
「緊急獣医から2つの選択肢を提示されました。安楽死させるか、法外な手術代を支払うかです」と彼女はBBCに語った。
ホーリーさんはアーニーの病気発症時、別のペット保険会社への切り替え手続き中だったため、経済的支援を受けられなかった。結局、彼女とパートナーは手術費用をまかなうためにローンを組むとともに、結婚式のために貯めていた資金も治療費返済にあてなければならなかった。
治療費が2倍以上上がっている理由はインフレだけでなく、地方の小さな動物病院を大手企業が買い取って傘下にしているからだという見解もある。
いずれにせよ、ペットの飼い主とペットを守るために治療費は公開していくことが、互いの信頼関係を築くうえで大切だろう。
公正取引委員会は価格の公表とともに、処方箋発行の上限価格を16ポンドとする、また、治療選択時に獣医師がペットオーナーに明確な価格情報を提供することを義務付け、500ポンド超の治療費は書面で提示し明細書を発行するといったことを義務づける方針だ。



 
                               
                               
                               
                              





