
アメリカの大手ペット用品店といえば「PETCO(ペットコ)」で、どの地域にも大きなPETCOの店舗があり、ペットを連れて買い物をする客で賑わっていた。
しかしコロナ禍以降、オンラインでのサブスク配送を得意とする「Chewy」などの企業に顧客が流れ、実店舗をもつペット用品店は苦しい経営状況に直面している。
PETCOは今年、米国全土で業績不振の店舗25店舗を閉鎖する。これは昨年閉鎖した店舗数と同じ規模で、ファスト・カンパニー誌によれば、同社の決定は売上減少が理由だという。第2四半期決算報告書によると、売上高は2.3%減、株価は年初来で約16%、過去12ヶ月で約26%下落している。
しかし、Petco の経営陣は、こうした変化を前向きに捉えているようです。The Street の報道によると、第 2 四半期の決算発表で店舗閉鎖を発表した際、CEO のジョエル・アンダーソン氏は、このニュースを同社の「変革」の一環であると述べた。
「下半期に入り、当社は変革の第 2 段階を継続的に実行しており、昨年と比較して、収益および全体的な業績の改善が見込まれます。改善を実現できると確信しているからこそ、業績予想を上方修正すると同時に、収益性の高い売上成長への回帰を目指す第 3 段階の基盤整備として、事業への慎重な再投資を開始することができるのです」と将来性をアピールしている。
興味深いのは、アンダーソン氏が、同社の戦略の一部として「顧客にパソコンやスマホ画面から離れて、ペットと一緒に店で買い物をする理由を与える」ことを挙げた点だ。
「Chewy で猫用トイレの砂を自動配送してもらうのも悪くないですが、子犬がお店に来なければ、お気に入りの新しいボールを試すことはできません。私は映画『ユー・ガット・メール』に登場する、タイプライターを愛する反テクノロジーのフランク・ナバスキーのように聞こえるかもしれませんが、私はペットショップが大好きなのです」と、店舗に足を運び、体験を通して買い物をするという「原点回帰」の大切さを訴えた。
「ペットショップ特有のあの匂い。そして4番通路で完全に掃除されきらなかったほんの少しのオシッコの匂いを決して失ってはならない」と。
便利さや効率だけを追求するなら、そもそもペットを飼う意味なんてないのかもしれない。これまで飼い主は愛犬や愛猫のために、いろんな商品を手にとって、匂いや感触を頼りに最も良いものを選んでいた。カウンター横のペットおやつについ手が伸びてしまうこともあっただろう。
ネット上のレビューの数よりも、ノスタルジア(懐かしさ)を飼い主は求めているはずだ。そんなPETCOの想いに共感し、多くの顧客が店へ戻ってきてくれることを願う。
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